労働者の生活を顧みないブラック企業は許しません。サービス残業させられる、有給休暇がとれない、パワハラされるなどに対抗しましょう。私たちは、新潟の労働組合「にいがた青年ユニオン」です。

2015年3月18日水曜日

ブラック企業の規制となるか?新卒求人受けない法案は実効性確保を



ブラック企業の求人をハローワークで受け付けない法案について話題となっていました(以前の記事)。
それが、いよいよ閣議決定されました。



政府は17日の閣議で、若者の雇用対策としていわゆる「ブラック企業」と疑われる企業の新卒の求人を、ハローワークで一定期間受け付けないことなどを定めた法案を決定しました。
NHKニュース 3月17日 10時56分
問題なのは、これで本当にブラック企業対策が実効性あるものになってくれるのかどうかです。



長時間労働を放置


たとえば、この「給料明細」を見て下さい。

基本給 13万円
職務手当 4万円
固定残業代 12万円
交通費 1万円
合計 30万円

交通費は実際にかかる通勤費と相殺されるでしょうから、それを除いて考えると、月収29万円。これだけ見ればよい金額です。
しかし、固定残業代として12万円があらかじめ含まれています。

現在は、このような固定残業代について、ハローワークの求人では、あらかじめ何時間分の残業を含むのか、そして、それを超えたときには追加の残業代を払うと書いてあるはずです。
しかし、固定残業代を除く金額、つまり、基本給13万円と職務手当4万円を加えた17万円に対して、固定残業代が12万円というのはあまりにも多すぎます。このことから、かなりの長時間労働が予想されるでしょう。

もちろん、これだけでブラック企業かどうか決めることはできませんが、少なくてもこれだけでは今回の規制にはひっかかりません。
予想される長時間労働を遙かに超えるような、ものすごい長時間労働を行わせ、そして、残業代不払いを行い、それを何度も指導されたときに求人規制にかかることとなります。

そもそも、法は長時間労働を規制していません。
各企業は「念のため」としているようですが、情報公開で明らかにされた残業上限を約束する労使協定(36協定)はこのようになっているといいます:

NTT東日本 月150時間
王子製紙 月135時間
東芝 月130時間
丸紅 月120時間
三菱商事 月100時間
JR東日本 月90時間

名だたる大企業で、月80時間の過労死ラインを超える36協定が結ばれています。当然、「念のため」でなくてはなりません。実際に、これだけの残業をさせたらとんでもないことです。しかし、いくら「念のため」だとしても、この時間はやりすぎでしょう。そもそも、残業は必要最小限にとどめ、そういう人員配置を行うべきなのですから。

このような長時間労働は、今回の新卒求人規制にかかることはありません。ハードルを高く設定すると、規制に引っかからないというのは、おかしいのではないでしょうか。

あのブラック企業はどうなるの?


ブラック企業といえば、あの会社。具体的に名前が思い浮かぶのではないでしょうか。
では、その会社の求人は規制にかかるでしょうか。おそらくかからないでしょう。

深夜のワンオペ、人手不足から店舗の閉鎖、そして第三者委員会の報告で騒がせた「すき屋」(株式会社ゼンショー)は、数多くの是正指導が行われていたといいます。本来、これだけの是正指導が行われていれば、刑事罰を受けてもやむをえないでしょう。実際、告訴されていましたが、「改善の余地あり」として起訴猶予とされていたのです。今回の求人規制も、どれぐらい実行されるか疑問があります。


ブラック企業のハードルを上げようとしている政府


いま、政府は「ブラック企業」のハードルを上げようとしています。

労働者派遣法を改悪して、派遣労働者をいつまでも派遣労働者として使い続けるような制度にしようとしています。これにより、正社員や期間工、パートタイマーら、直接雇用だった人たちも、派遣に置き換えられていく道ができることになります。

「高度プロフェッショナル制度」と名付けた残業代ゼロ法案で、残業代を払わなくても良いようにする制度を持ち込もうとしています。労働を労働時間ではからず、成果ではかろうというのは労働者が望んでいることではありません。経営者が、決して到達し得ない「成果目標」をつくり、労働者をひたすらそれに向かわせる仕組みです。

ブラック企業なのに、ブラック企業ではないことにしてしまう制度改悪は、絶対に許すことはできません。
小手先の新卒求人の規制で終わらせることなく、実効性ある規制にする必要があります。