レイバーネットに裁判傍聴支援の呼びかけが掲載されていますが、その内容がすごかったのでご紹介します。
呼びかけたのは東京東部労組。未払い残業代3人分で約4千万円を請求した裁判です。
その働かせ方が異常です。
3人は過労死レベル(月80時間の残業)をはるかに超える長時間労働を恒常的に強いられてきました。ひどい人では残業時間だけで月206時間という殺人的な長時間労働を記録しています。その背景には給与の半分を占める同社の「固定時間外手当」の存在があります。仮に固定時間外手当をのぞく基本給だけで計算すると時給が当時の東京都の最低賃金を下回るというデタラメさです。
東京東部労組 : 多摩ミルク支部エイチビーエス固定残業代裁判への支援傍聴のお願い
残業時間が206時間ということは、31日で割り算すると、6.6時間。週40時間働いた上に、毎日6時間半働くような感じ。まさに「殺人的」です。
そして、この長時間労働の背景には固定残業代があると指摘しています。
また、同手当が、何時間分の時間外労働に相当するのかは明記されておらず、深夜労働手当が含まれているのかも不明で、過去の最高裁判例で確立している他の賃金と残業代部分を明確に区別すべきという要件を満たしていません。さらに、どれだけ長時間の残業をやっても手当を上回る残業代は支払われていません。この点を向島労働基準監督署が昨年4月に同社に是正勧告を行いましたが、それから1年以上たった現時点でも同社は勧告に従わず未払い残業代を1円も支払わないまま平然と居直っているのです。
東京東部労組 : 多摩ミルク支部エイチビーエス固定残業代裁判への支援傍聴のお願い
固定残業代がいくらなのか明確にされず、固定残業代を除く基本給は最低賃金を下回り、どれだけ長時間の残業をしても追加の残業代を支払わないというのですから、会社側は言い逃れはできないでしょう。なおかつ、労基署の指導に従わないのですから、悪質です。
このようなブラック企業に対して、裁判所がどのような判断を示すのか注目しなければなりません。
また、このような働かせ方をする企業に対して、行政がどのような措置を取れるようにするのか、法律的な面での整備も必要とされることでしょう。どんなに綺麗事を並べても、「残業代ゼロ法案」はこういう経営者に悪用されますから、ブラック企業を免罪するような法律はつくらせないことが肝心です。