ブラック企業はなぜ存在し続けるのでしょうか。
一斉に社員が辞めてしまったら成り立たなくなるはずなのに。
そんな疑問が話題に上っています。
BLOGOS ブラック企業の社員はなぜ辞めないのか? 「転職先もブラックで諦めた」という人も
いろいろな回答が寄せられたとのことですが、基本的には3つの理由が組み合わされていると考えられます。
ブラック企業は洗脳集団
ブラック企業は、従業員が逆らわないようにするための仕掛けを持っています。
つまり、洗脳です。
新人教育で、徹底的に自己否定させて、人間としての尊厳を捨てさせるといったことが典型的です。
その前提として、学校を卒業する前に、労働者としての権利教育があまり行われていないということもあります。
権利教育と言っても、学校だけではありません。家庭でもです。
「権利ばかり言うな、義務を果たせ」と子どもに対して言うことはありませんか?
それが洗脳のひとつです。
洗脳された従業員は、逃げようとはしません。
心身が壊れるまで働き続けます。
日本企業全体がブラック企業状態で、たまにあるホワイト企業はまさに宝くじに当たるようなもの
ブラック企業から抜けようとしても、そもそも転職先がブラック企業ではないという可能性はどれぐらいあるでしょうか。
ブラック企業の特徴の一つに、サービス残業が挙げられます。
では、サービス残業のない会社は、どれぐらいあるでしょうか。
過労死するほどの長時間労働も挙げられます。
では、36協定で、残業は本当に一時的でしかないという会社は、どれぐらいあるでしょうか。
女性差別も挙げられます。
では、社内の男女比、賃金格差などはどうでしょうか。結果の平等は守られているでしょうか。
パワハラも挙げられます。
では、社内でパワハラ防止のためのしくみは、ちゃんと機能しているでしょうか。
生活できる賃金だって必要です。
そう考えていくと、ホワイト企業は数えるぐらいしかないと考えてしまいます。宝くじに当たるようなものです。
転職しても、再びブラック企業に足を突っ込むかもしれないと思い至るとき、転職をあきらめることになります。
失業するとたちまち生活が成り立たない日本社会
転職を考えたとき、離職と転職に隙間がなければラッキーです。
ですが、いつもそうだとは限りません。
そもそも、ブラック企業に在籍しながら転職活動は十分にできるでしょうか。
そう考えると、退職してから、転職活動を行う方が自然でしょう。
自己都合退職すると、すぐに失業手当はもらえません。
その間、どうやって生活したら良いでしょうか。
日本人は貯蓄好きだと言われてきました。それなのに、貯蓄ゼロの世帯は4世帯に1世帯に上ります。その割合はどんどん上昇しています。
もう嫌だからと別の業種につきたいと思うこともあるでしょう。
しかし、公的職業訓練はたいへん貧弱です。
こうして、仕事がなくなると、すぐさま生活に行き詰まる可能性があります。
失業と生活破綻がセットだから、転職できません。
その3つをなくせばブラック企業は立ちゆかなくなるし普通の労働者も幸せになれる
逆に考えれば、その3つがなくなれば、ブラック企業は成り立ちません。
制度的に改善するところが多いのです。
なにも、ブラック企業対策という特別なことではありません。
労働者を保護する制度や、社会保障制度をよくすることは、すべての労働者が幸せになります。そうなることでブラック企業が淘汰されれば、不当競争を強いられていたまじめな企業も楽になるでしょう。