労働組合で、長時間労働や過労死について考える機会があれば、必ず通る道が「電通過労死事件」です。
2000年に最高裁で出されたこの判決では、会社に作業管理義務があり、健康配慮義務があるのだから、過労死は会社の責任と断罪されました。根拠は、労働安全衛生法です。
それなのに。
またしても電通です。
電通は責任を認めて遺族と和解。再発防止に向け、「長年にわたって適正な勤務管理、長時間勤務抑制、社員の健康維持のための取り組みを実施してきた」(広報部)と説明する。
しかし、14年6月に関西支社(大阪市)が、昨年8月には東京・汐留の本社が、違法な長時間労働をさせたとして労働基準監督署から是正勧告を受けていた。その4カ月後、男性と同じ24歳で新入社員の高橋まつりさんが過労自殺した。
さらに、本社勤務だった男性社員が3年前に亡くなり、過労死を認められたと関係者は明かす。「全国過労死を考える家族の会」の寺西笑子代表は「過労死を繰り返す企業には社会的な監視が必要だ」と憤る。
朝日新聞デジタル 電通、染みついた鬼十則 「命を削って給料もらってる」 2016年10月28日
「過労死と言えば電通」というイメージでしたが、こうなると、「電通と言えば過労死」です。
会社は、もうけをあげるための組織です。人のためとか、社会のためとかは、後回しになります。
しかし、それを本気でやったら、労働者の生活が破壊されたら、人間社会はダメになります。
不平不満を抱く人たちに向けて、ヘイトスピーチを振りまく連中がのさばるような、そんな世界になります。
そうすると、必ず彼らは仮想敵を外に作るので、戦争になります。
そういうのはよくないから、労働契約を自由にさせるのではなく、社会的に規制するようになったというのが現代です。
そういう観点からどうでしょう。電通。
存在させていてもよいのでしょうか。
そろそろそんなことを考えてもよい時期がやってきています。