経済界は、目先のことしか考えませんし、自民党と公明党の政権もそっちにしか目がいかないので、労働者派遣法を悪く変えようとしています。
その結果、労働者が被害を受けるわけですが、最後の最後で会社もクズになります。
まだ労働者派遣法は変わっていませんが、予防的に派遣切りが始まっているとの情報は入っていました。
具体的に、NTTでの動きが記事になっていました。
日本の通信事業最大手である日本電信電話(NTT)が、次々に30代派遣社員のクビ切りを行っているらしい。民営化から30年、アメリカ式の経営指標を最重視してコストカットに邁進中で、社内は疲弊しブラック企業化しているという。
Business Journal NTTで“ハケン切り”の嵐!切りすぎで、“スキルのない素人”社員だらけに… 2015年7月21日
記事を詳しく見ていきましょう。
通信技術者の専門職として、派遣されているAさんは、雇い止めを通告されています。
理由は、今度の労働者派遣法では、このような専門業務の特定派遣を廃止するためです。
これまで、労働者派遣には2種類ありました。
専門職だから許される特定派遣。こちらに期間制限はありません。
一時的・臨時的だから許される一般派遣。こちらは期間制限があります。
この区別がなくなりそうだということで、Aさんは予防的に雇い止めされたと考えられます。
このAさんを、そんなに簡単にクビにしてしまってよいのでしょうか。
このようにAさんが憤るのには理由がある。Aさんの働く部署は、いわば法人向けメンテナンスを担当しており、通信技術系のスキルが要求されるうえに顧客対応も求められるのだ。Aさんはクレーム対応で顧客からの評判も高く、最近も優秀表彰を受けたばかり。それにもかかわらず、コスト削減対象の特定派遣社員だからという理由だけで雇い止めに遭ってしまったのだ。
つまり、会社は、技術よりもコストを優先したことがうかがえます。
ところで、こんなことを書くと、「労働組合の主張は、ずっと雇えなのか、使い捨てるななのか、よくわからない」という声を聞きます。
これは、労働者派遣が2種類あるというところをふまえないためです。
先ほども述べたとおり、派遣には2種類あります。
本来、専門職の派遣は、直接雇用で安定的に雇えばよいことです。
こういう派遣の場合は、「派遣ではなくて、直雇用でずっと雇え」という主張をしています。
対して、一般派遣の場合は、今度の派遣法改悪案では、ずっと派遣のままになるので、「派遣として使い続けず、直雇用にしろ」という主張になります。
話を戻しますが、Aさんのような専門職を追い出してしまう会社はどうなるでしょうか。
「うちは大口の契約先である企業を相手にする重要な部署であるにもかかわらず、正社員は使い物にならない人材ばかりです。人事異動で配置されるのはスキルがない素人なうえに、クレーム対応を面倒くさがり、たらいまわしにするだけです。その結果、断ることのできない派遣社員がクレームに対応してきました。今まではスキルがある特定派遣社員が中心となって対応していましたが、今後、一般派遣社員が十分に対応できずトラブルが悪化することは目に見えています。私の代わりとして入った数人の一般派遣社員もすでに『まったく使い物にならない』という烙印が押されています」(Aさん)
おそらくそうなるでしょう。
人がころころ変わるのですから、技術力低下は避けられません。
人を大切にしなくなった会社は、クズ会社になるでしょう。
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