次の日の勤務までの間に必要な休息時間を定める動きが企業の中から出てきました。
通信大手KDDIは7月から、「8時間以上の休息確保」ルールを本格的に始めた。管理職を除く社員約1万人が対象。午前1時以降の勤務を原則禁止し、始業時刻の午前9時までに8時間以上の休息がとれるようにする。もし1時以降も働いたら、次の出勤がその分ずれる。たとえば午前2時退社なら、翌朝の出勤は10時以降だ。
朝日新聞デジタル「深夜残業→翌日必ず遅出 勤務間休息ルール始まってます」2015年7月8日
8時間というのは、まだまだな数字ですが、さらに大きな数字になることを期待します。
勤務間インターバルは、ヨーロッパではすでに実施されており、11時間以上の休息を挟まなければならないことになっています。
これは、1日の労働時間の上限を決めてしまう方法です。
1日24時間のうち、連続休憩を11時間と定めると、残りは13時間。
途中に休憩1時間を挟まなければなりませんから、労働時間は自然と12時間をオーバーすることができなくなります。
いまの日本の労働法では、労働時間の上限を規制する法律がありません。
労働基準法:1日8時間、週40時間の労働時間。それ以上は違法。
↓
労働基準法:例外として労使協定(36協定)を結べばOK
↓
36協定:労働時間の上限は法律ではなく、労使の話し合いで決まる。
↓
厚生労働大臣:残業時間の上限の目安は告示している(が、あくまでも目安で強制力がない)
このような状態ですから、正規の残業時間でも過労死がなくなりません。↓
労働基準法:例外として労使協定(36協定)を結べばOK
↓
36協定:労働時間の上限は法律ではなく、労使の話し合いで決まる。
↓
厚生労働大臣:残業時間の上限の目安は告示している(が、あくまでも目安で強制力がない)
これに「サービス残業」が付け加わりますから、なおのことです。
同記事では、KDDIの他、レストランを展開するジョイフルも、「11時間以上の休息」を取る仕組みをつくっていると報じています。
労働者が過労死の危険を背負いながら働いても、いい仕事はできません。
残業代がたくさんもらえるからいいというような話でもありません。
経営者から考えても、労働者が元気に効率よく働く方がよいはずですですから、勤務間インターバルは法制化すべきです。
それなのに、昨年秋に過労死対策基本法の具体化が話し合われたときには、経営者サイドから勤務間インターバルについて異論が出て、実現しませんでした。
日本人は、勤勉だと言われます。
しかし、死ぬほど働かされるのは、ゆがんでいます。