薬を交付する際に患者と話ができず、同僚とも全くコミュニケーションが取れない薬剤師がいます。薬剤師として能力不足と考えており、解雇したいのですが、可能でしょうか。 (60代男性)
日経メディカル「薬局なんでも相談室」2015年8月3日
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解雇の前に確認すべきことがある
採用面接ではどうだったのか
問題の薬剤師の方は、どんな方かわかりかねますが、長年勤めてきた方だということなら、「何を今更」という感が強くなります。どちらかといえば、採用されてすぐなのかもしれません。
そうすると、採用面接においては、採用官とどうやってコミュニケーションをとったのでしょうか。
採用官とて、患者への指導が重視されている時代というのは理解しているはず。
であれば、当然、そういう面に気をつけているはずです。
それなのに、気がつかなかったのでしょう。
ここは、会社に落ち度があります。
つまり、面接時にそうと示していない理由なのに、あとで解雇理由にしてくるというものです。
なぜコミュニケーションがとれないのか
問題の薬剤師は、当然、薬科大学を卒業しているはず。これまでの人生において、どういうふうに人付き合いをしてきたのでしょうか。
なぜ、患者と話ができない、同僚とコミュニケーションがとれないという状態なのか調べなくてはなりません。
たとえば、極度のあがり症で、些細なミスをその60代男性から怒鳴られた経験があり、緊張のあまり職場で口数が減る、のかもしれません。
その辺の事情が書かれていませんから、判断できない部分があります。
「能力不足の解雇」は裏返せば「指導者の能力不足」
能力がないからクビにするという使用者がいます。
しかし、それは裏返せば、使用者の指導者としての能力不足です。
人間にはもともと得手不得手がありますし、教え方によって天と地との開きができます。
能力不足で解雇という前に、使用者はやるべきことをやり尽くさなければなりません。