労働者の生活を顧みないブラック企業は許しません。サービス残業させられる、有給休暇がとれない、パワハラされるなどに対抗しましょう。私たちは、新潟の労働組合「にいがた青年ユニオン」です。 もし記事がしばらく更新されていないなら、新潟にブラック企業を見つけていないしるしです。あなたが見つけたら、私たちに教えてください。 にいがた青年ユニオンとしての考え方、労働相談や生活相談などは、ブログ「ゆにぶろ」で紹介します。

2015年12月8日火曜日

遺族と和解!ワタミ過労自殺訴訟

あの過労自殺訴訟が、ようやく一段落つく形で決着しました。

ワタミグループの居酒屋「和民」に勤めていた娘を過労自殺で失った遺族が、ワタミや当時代表取締役だった渡辺美樹参院議員(自民党)らに損害賠償を求めた裁判が8日、東京地裁で和解した。ワタミや渡辺氏らは法的責任を認め、連帯して1億3千万円超を支払う。
朝日新聞 ワタミグループ過労自殺訴訟が和解 会社側が責任認める 2015年12月8日

2008年6月に過労自殺した森さんは当時26歳。
入社からわずか2ヶ月余。
社員寮近くのマンションから飛び降り自殺しました。

刺身などを扱う「刺場」は、店舗でも最も大変な仕事といわれ、そこに未経験の新入社員だった森さんが配属されました。
注文から7分が経過するとブザーが鳴り、盛りつけがうまくできないと、店長などから叱咤を受けます。

連日の13時間から15時間の長時間労働。早朝研修会、休日のボランティア活動などへも参加を強制され、講習会のない休日でも会社の課題レポートに追われる日々でした。

森さんの亡くなる1ヶ月前の手帳には、こう書かれていたそうです。
「体が痛いです、体が辛いです、気持ちが沈みます、早く動けません、どうか助けて下さい、誰か助けて下さい--。」

これが明らかにされ、和民はブラック企業として告発されることとなりました。
当初は、事件当時代表取締役だった渡辺美樹参院議員は、個人に責任はないと争っていましたが、最終的には責任を認める形で決着しました。

読売新聞社説 2015年12月11日
ワタミ自殺和解 「ブラック企業」根絶の契機に

労働時間を正確に把握し、残業の削減に努める。研修やリポート作成も業務と認定し、適正に残業代を払う。和解条項には、こうした再発防止策も盛り込まれた。他の企業でも、当たり前のこととして、しっかり取り組むべきだ。

他の社員についても、研修などの未払い残業代を支払うと明記された点は、注目される。訴訟が判決に至れば、当事者の請求の是非のみが判断される。ワタミの全社員に及ぶ対策が認められたのは、和解ならではの成果だろう。

毎日新聞社説 2015年12月11日
ワタミ和解 ブラック企業の一掃を

当初、ワタミは裁判で責任を認めず争ってきたが、「24時間死ぬまで働け」という渡辺元社長の経営方針への批判から従業員が集まらず、客離れを招いて経営が悪化した。その結果、渡辺氏個人の責任も認める和解へと追い込まれた。ブラック企業は存続できないことを示した意義は大きい。

うつなどで労災認定された人は昨年度497人、自殺や自殺未遂は99人でいずれも過去最多となった。今年10月時点でも、賃金不払いの残業をした社員は35%、男性正社員の1割は月80時間を超える残業をしたとの調査結果がある。

非正規雇用の増大を招く国の政策が背景にあり、労働基準監督署が指導や取り締まりを十分に行ってこなかった結果でもある。国は事態を深刻に受け止め、ブラック企業の根絶に向け、労働時間規制や会社への指導を強化する必要がある。

西日本新聞社説 2015年12月12日
ワタミ過労自殺 企業社会全体への警鐘だ

ワタミだけの問題ではない。働き過ぎで健康を損ねる人や命を落とす人は後を絶たない。残念ながらブラック企業やその予備軍は少なくないのが実態ではないか。
 そうした状況を放置したままだと、企業は社会的な制裁を受けることがある。場合によっては渡辺氏のように経営者としての個人責任まで問われる。その意味で今回の和解は、日本の企業社会全体への警鐘と捉えるべきだろう。

日本経済新聞社説 2015年12月12日
過重労働を改める機会に

ワタミの問題は人を雇用する組織とその責任者への警鐘といえる。従業員の心身をむしばむような働かせ方は社会が許さない。過酷な労働を放置せず、働く環境を改善する責任が組織の管理者やトップにはある。そのことを他企業も自覚する機会としたい。

琉球新報社説 2015年12月12日
ワタミ訴訟和解 労働者守る取り組み推進を

この問題でワタミは、過酷な労働条件で若者らを酷使する「ブラック企業」という批判を受けた。店舗の利用客は減少し、介護事業の売却などグループの事業見直しを迫られた。この教訓を多くの経営者が共有してほしい。
和解内容にはワタミが今後取り組む具体的な長時間労働の防止策も盛り込まれた。弁護団は「判決では実現できない成果」と評価している。過労死の悲劇を繰り返さないために、社会全体で真剣に考えていく必要があろう。