契約回数に突然上限をつけられて雇い止めされたケースで、和解が成立しました。
喫茶店チェーン「カフェ・ベローチェ」千葉店で長期間、アルバイトとして働いていた30代女性が、雇い止めされたのは不当だとして、運営会社「シャノアール」(東京都)に雇い止め撤回と慰謝料などを求めていた訴訟は2月16日、東京高裁で和解が成立した。
弁護士ドットコム 「鮮度が落ちるから入れ替え」ベローチェ雇い止め訴訟が和解…元バイト女性に解決金 2016年2月16日
女性は首都圏青年ユニオンの組合員で、組合と会社の交渉において、会社側は従業員が入れ替わった方がよいと主張。「鮮度が落ちる」と表現していました。
しかし、一審の東京地裁は2015年7月、雇い止めが有効と判断していました。
更新上限をつけるキッカケとなったのは、労働契約法の改正です。
労働契約法では、有期労働契約が5年を超えた場合、無期転換権が生じることになっています。
労働契約法第18条
同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。
無期転換するといっても、それ以外の労働条件を変更する必要がなく、非常に不十分な内容です。
しかし、もともと有期労働者を「調整弁」として使っている使用者にとっては、目障りな規定となります。そこで、契約更新回数に上限を設け、この5年を超えないようにしようとする会社が表れているのです。
シャノアールとの和解が成立したいまもなお、契約更新に上限をつけたままの会社があります。
今回の勝利和解をきっかけにして、雇い止めを許さない法律改正へと進む必要があるでしょう。